職場ハラスメント(パワハラ、モラハラ、職場いじめ、問題上司)の対処法

ハラスメントを放置するとどうなるか?

職場ハラスメントを放置した場合、企業の損失は次のようなものです。

29ILAF40◆ 成果や生産性の低下
◆ 社員のやる気(モラール)の低下
◆ 健康やメンタルヘルスの悪化
◆ 離職の増加
◆ 訴訟・損害賠償
本来、成果や生産性の低下、モラールの低下こそ、企業にとっては最大の損失となるものですが、数値化しにくく、なかなかリスクとして認識されません。そこで、ここでは訴訟・損害賠償の経営リスクについて、具体的な数字を含めてみていきたいと思います。

ハラスメントが原因の「うつ自殺」 企業の賠償金額は?

企業には労働者の安全配慮義務が課されています。2000年の電通事件判決(最高裁勧告)以降、うつ病などの精神疾患についての企業責任が問われる判例も増えており、精神疾患の労災の認定件数が急増しています。

うつ自殺・過労死における労災認定の最重要ポイントは、週100時間以上の長時間労働ですが、過去半年における「心理的負担」も労災認定に大きな要素となり、この「心理的負担」には、上司からのいじめやハラスメントなどのトラブルも含まれています。

つまり、いじめ・ハラスメントが放置されたままの状態で、過労死・うつ自殺に至った場合には、それが労働災害として認められる可能性が非常に高くなります。

実際、このような労働安全衛生の流れを受けて、2007年に画期的な判決がありました。製薬会社の社員がうつ病になり、自殺したのは、上司の暴言(パワハラ)が原因であると認定されたのです。これは、パワハラによる「うつ病」「うつ自殺」が労災認定された初めてのケースです。

ご存じだと思いますが、労災認定そのものは行政訴訟であり、労災保険金を支払うのは国です。しかし、「労災認定=因果関係の認定」ですから、遺族などから民事訴訟を起こされた場合、会社として、高額な損害賠償を支払わなければならなくなる可能性が極めて高くなります。また、現場管理者本人も、いわゆる労働安全衛生の「措置義務」により、刑事責任(業務上過失致死傷罪)が発生する可能性もあります。

ハラスメントが原因でうつ病になり、自殺した社員が出た場合、遺族からの損害賠償請求は数千万円を超えるといわれています。中小企業であれば、経営を揺るがしかねない金額です。

>>上司の暴言が原因…東京地裁、労災を認定(毎日新聞)


社会保険

2010年5月号から12回連載しました